お店を始めた理由(インナーウィッグ開発まで)
[きっかけは友人の汎発性脱毛症]
大切な友人が「全身脱毛症」になったことがきっかけでした。
突然全身の毛が抜けてしまって「みんなにバレてしまうんじゃないか・・」と外出するのが怖くなってしまっていた親友に寄り添いたい気持ちで、私も髪の毛を丸刈りにしました。親友の辛さを共有できるとは思っていませんでしたが、同じようにウィッグ無しでは外に出にくい状態になったら「私と一緒にいたり外出するのは少しでも気が楽になるのでは?」と思ったのです。
でも私は購入したフルウィッグの締め付け感に耐えられず、フルウィッグを着けて外出したのは1回のみで、ウィッグを解体して作った「つけ毛」を帽子に縫い付けました。
そんな時、抗がん剤治療や脱毛症でウィッグを使用されている方たちのブログを見ていたら、
「フルウィッグのつむじや生え際が気になって、ウィッグの上から帽子を必ず被っている。」
「抗がん剤治療中はシミができやすいし、外出時は必ず帽子を被っている。ウィッグの上にさらに帽子で暑い。」
など、フルウィッグの上に帽子を被っている方がとても多いのに気が付きました。
「どうせウィッグの上にさらに帽子をかぶるなら、帽子で隠れる部分を省いちゃった方が涼しいしお手入れも簡単じゃなかな?」「つけ毛付き帽子ってけっこう結構ニーズがあるかも?」と思うようになりました。
ウィッグの知識や美容師の経験など何もなかったのですが、
「欲しい人がいたら使ってほしい・・」
「他にも必要な人がいるはず..」
と思い、ネットオークションで手作りの「つけ毛付帽子」の出品を始めました。
※ファッションウィッグから「つけ毛付帽子」を作る方法は「鈴珠店長日記」に詳しく載せています。細かい作業や裁縫が好きな方なら不要になったウィッグを解体してつけ毛を作るのもオススメです。
手作りした「つけ毛付き帽子」「つけ毛付きバンダナ」のほんの一部。
オークションという場なのにリピーターさんがたくさん増えて、
「欲しいのに手に入れることができない」などの声をいただきました。
みなさんのお声に励まされて、ネットショップをオープンしました。(2006年6月)
「自分用に作り始めた品を、他の方にも、自分が買ってもよい価格で・・・」そんな風に始まったお店です。
[インナーウィッグ誕生まで] ※インナーウィッグ、InnerWigは鈴珠の登録商標です
初めに思いついたのは「ヘアバンド」につけ毛を縫い付ける方法です。自分用に作ったヘアバンド式つけ毛の写真(2005年頃)
これは衣替えの時に「つけ毛を縫い付け替えるのが面倒だな...」と思った時に思いついて作りました。
でも、しばらくすると、ヘアバンドが頭頂部に向けてずれていきます・・・。
また、ヘアバンド自体に厚みがあったり、幅が広いため、帽子の中に納まりにくいという問題がありました。
「ずれにくく、幅が狭くても安定する材料はないかな..」と探した末に、ストレッチベルベットリボンを発見したことでインナーウィッグが誕生しました。
ベルベットリボンは国内で10種類以上取り寄せましたが、柔らかさや伸縮性に満足のいくものがなく、海外の市場に行きやっと納得のいく品質のリボンを見つけました。
その後「実用新案権」を自分で出願し、ネットショップでの販売を開始しました。
(裏話)
なぜ私が「ベルベットリボン」を使うことを考えついたかといいますと・・・。
昔むかし高校生だった私はヘアバンドやリボンをカチューシャ風に頭の周りに付けてうなじで結ぶというスタイルをよくしていました。
ヘアバンドだと締め付けが気になったり、ズレて抜けるように外れてしまったのですが、ベルベットリボンだとズレなくてゆるく付けても外れないので愛用していたのを思い出したからです。 昔の経験が今の商品のヒントになりました。
[私の思い]
髪の毛がなくなると、気持ちが沈みがちになり外出も人と会うことも面倒になるでしょう...。
オーダーメイドの高価なカツラのような100%の満足度は望めないかもしれません。
でも、サイズの問題がほとんど無く、ほぼ失敗が無く、大体の場所でお使いいただける品だと思っております。
締め付けが苦手な方、高級品を探す時間的・金銭的余裕の無い方、既製品ではサイズが合わない方(頭囲が大きい方など)、 育児などでカツラを被る手間が大変だったり、お手入れが面倒な方・・・。そんな悩みのある方に使っていただけたらな、と思っております。
カツラ(フルウィッグ)にも当店のつけ毛にも、メリット・デメリットがあります。ご自身のライフスタイルに合わせて、ご利用いただけたらと思っています。
この商品によって、少しでも脱毛で外出や人と会うことへの面倒な気持ちを軽減できたら、本当に幸いなことだと思います。